【派遣薬剤師の需要は今どうなっている?】2025年の転換点と今後の薬剤師採用戦略

新型コロナウイルス流行後、一時は需要が落ち込んだ派遣薬剤師ですが、2024年には再びピークを迎えました。しかし2025年に入り、明らかに転換期を迎えています。
本記事では、2025年11月時点の派遣薬剤師市場の現状と、今後の薬剤師採用戦略への影響について解説します。


派遣薬剤師の需要は2025年から減退傾向に

弊社が支援している薬局様や、複数の薬剤師紹介会社様からのヒアリングをもとにすると、2025年11月時点で派遣薬剤師の需要は昨年度比で約10%減少していると推測されます。
また、時給も一部エリアで500〜1,000円の下落が見られ、従来のような「高時給かつ即日稼働」の派遣薬剤師は減少しています。

需要減退の背景にある3つの要因

  1. 大手薬局・ドラッグストアの合併による薬剤師リソースの再配置
    アインHDとクラフトなどの大手による統合・合併を背景に、エリア間での薬剤師出向や人材移動が進みました。これにより、従来派遣で穴埋めしていた地域に正社員が補填されるようになっています。
  2. 新卒薬剤師の大手集中採用
    毎年約5,800〜6,000名の新卒薬剤師が薬局・ドラッグストア業界に輩出されています。その結果として、都市部を中心(東京・大阪・福岡・広島・仙台)派遣依存の傾向が薄まりつつあります
  3. 高時給モデルの持続性が低下
    派遣薬剤師の時給が急落したことで、「自由度と時給の高さ」を魅力に派遣を選んでいた層の動きが鈍化。派遣よりも安定性を求めて正社員を選ぶ動きが強まっています。

一時的な需要上昇と今後の見通し

今後の見通しとして、2025年12月〜2026年3月の繁忙期は一時的な需要上昇が予測されます。ただし、閑散期が始まる2026年6月以降には診療報酬改定が重なることで、派遣需要は再び縮小する見込みです。

関連記事: 2026年度診療報酬改定の行方|薬局・病院薬剤師


今後の派遣薬剤師の戦略的活用方法

派遣薬剤師の活用は「緊急的な人材確保」から「計画的・戦略的な補完施策」へと変わりつつあります。以下の視点での見直しが必要です。

① 繁忙期・産育休代替など限定用途での活用

例えば、請求時給4,200円の派遣薬剤師を1年間雇用する場合でも、福利厚生費や社会保険料を含めると正社員年収500~550万円+紹介料と比較してコストメリットが出る場合があります。
ただし、長期的な派遣は慎重な要件設定が必要です。


② 派遣時給の「相場下落」を前提とした交渉を

派遣活用の経験がある薬局様ほど、以前と同水準で契約をしてしまいがちですが、現在は300〜500円ほど安くても人材確保が可能な状況です。
また、3ヶ月更新ではなく2ヶ月更新にするなど、柔軟な派遣薬剤師契約設計も有効です。


③ 「選べる派遣薬剤師」の時代へ

面談こそできないものの、経験年数や稼働条件などの指定がしやすくなっています。2ヶ月前からの事前オーダーで、希望時給+スキルのマッチが叶いやすくなっています。


④ 依頼タイミングで確保率が大きく変わる

派遣薬剤師の契約更新タイミングは「前月25日〜月末」が一般的です。
このタイミングに合わせて依頼を出すことで、より確保しやすくなります。

成果事例:派遣薬剤師18名の最適化で460万円コストカット

弊社の薬剤師採用コンサルティング支援先では、派遣薬剤師18名の配置・時給交渉・交代を戦略的に見直した結果、稼働派遣薬剤師のコストを460万円削減に成功した事例があります。
薬剤師採用支援の一環として、幅広くご相談いただく調剤薬局様が増えています。

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