【2025年11月最新】調剤報酬改定のゆくえとは?後発品調剤体制加算や服薬指導料の見直し・敷地内&医療モール型が焦点に

2025年11月時点、2026年度の調剤報酬改定に向けた議論が本格化しています。特に注目されているのが「後発医薬品調剤体制加算」「服薬情報等提供料(薬歴管理加算)」「特別調剤基本料」の見直しです。

1. 秋の財務省方針と「改定はマイナスかプラスか」論争

財務省は10月下旬の「秋の建議」で調剤報酬の抑制を強く主張。特に次の3点に言及しています。

  • 後発医薬品調剤体制加算の厳格化とリスト見直し
  • 服薬情報等提供料・モニタリング料の削減・重点化
  • 特別調剤基本料2(モールや医療モール等)の除外規定の明確化

これに対し厚労省・中医協では「過度な削減ではなく、現場の実情に即した見直しを」といったバランス論が展開されています。


2. スケジュールと今後の焦点

各種議論のスケジュールは以下の通り進行しています。

  • 10月〜11月:中医協での個別議論(後発体制加算・服薬指導・対人業務評価)
  • 12月〜1月:改定骨子案の公表
  • 2月下旬〜3月上旬:官報告告(正式決定)

特に後発品加算や服薬管理料については、財源確保と医療DXの進展を踏まえた再設計が進んでおり、以下のような論点が出ています。


3. 改定で焦点となる3つの項目

(1)後発医薬品調剤体制加算

  • 「加算1」「加算2」の統廃合や要件見直し
  • 医薬品リストの見直し(供給不安定品目の除外等)
  • 加算算定の要件が「実績ベース」から「構造的体制」に移行の可能性

現状、加算1区分が多すぎて実態を反映していないとの指摘も。


(2)服薬情報等提供料・調剤後薬剤管理指導加算

  • 特に服薬フォローアップの実施体制の有無や継続性が評価対象に
  • 実績加算の創設、対象患者の重点化(在宅・多剤・高齢者 など)

(3)特別調剤基本料(同一建物内)

敷地内薬局・医療モール型薬局とは?

用語意味
敷地内薬局病院や診療所と同じ敷地内・同一建物内に設置された薬局。特別調剤基本料の対象
医療モール薬局医療テナントが集積したビルや複合施設内にある薬局。医療機関との契約や構造によって、評価が変わる可能性がある。
特別調剤基本料A医療機関と特別な関係を有する薬局に対して設定される高評価の報酬体系。

これまでは、「敷地内薬局=不正の温床」ではなく、立地上の必然性から設置されるケースも多く、医療機関との連携が取れるという点で一定の評価もありました。
しかし、近年では制度の抜け道として活用される例も散見され、国側はその見直しに本腰を入れ始めています。


今回の議論のポイントは「正し書き規定」と「集中率要件」

特に問題視されているのが、以下2点です。

① 正し書き規定の曖昧さ

同一建物内に診療所があると、自動的に「特別調剤基本料」の対象外とされる正し書きルール。
これを回避するために、あえて契約形態を複雑化させたり、名義を変えるなどのいたちごっこが横行している状況が報告されています。

② 集中率の扱い

「上位3医療機関の処方箋が70%以上」という集中率要件がありましたが、大型モールやビル型施設ではこれを満たさないケースが増えています。
今回の議論では、「同一建物内のすべての医療機関合算で判定する」という案も浮上しており、制度設計の再整理が求められています。


今後の改定で想定される対応方針(予測)

  • 特別調剤基本料の厳格化
     → 医療機関との「実質的関係性」の定義が明確化される可能性
  • 医療モール型薬局の線引き明確化
     → 商業施設や複合型施設に入居する薬局の評価軸が見直される可能性
  • 集中率の再評価
     → 地域密着よりも建物内構造と診療所数で集中率計算される時代へ?

4. 「地域支援体制加算」や在宅薬剤管理指導も再評価対象に

  • 地域支援体制加算の項目数や実施比率に応じた重みづけの再設計
  • 在宅薬剤管理の指導件数要件の見直しや新たな評価指標の追加

→ 「点数の見直し」だけでなく「実施率」「質」も問われる時代へ。


5. 次回改定の全体像(予測)

論点予測される動き背景
後発医薬品調剤体制加算加算1・2の見直しリスト厳格化財源圧縮
服薬情報等提供料等評価体系の再構築、重点化DX対応
特別調剤基本料(モール等)除外規定強化の可能性不当算定是正
地域支援体制加算評価項目の重みづけ再編医薬分業推進
在宅・対人業務実績評価指標の導入、点数再編少子高齢化

6. 薬局経営者・薬剤師が準備すべきこと

2026年改定は、「加算の見直し」だけでなく「体制や実績の質」が評価される改定になります。薬局経営者や薬剤師の皆様は以下の視点で備えることが求められます。

  • 薬局内の加算算定体制・指導記録の整備
  • 在宅やフォローアップの実績化・可視化
  • 電子薬歴・指導記録の効率的運用
  • 「同一建物内」薬局の立地要件確認とリスク評価

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