【2026年度診療報酬改定の行方】薬局・病院薬剤師の評価はどう変わる?採用・年収への影響も解説

2026年度の診療報酬改定に向け、中医協(中央社会保険医療協議会)では調剤報酬に関する議論が本格化しています。
今回の改定議論は、単なる「点数の増減」ではなく、薬局薬剤師・病院薬剤師の評価や配置、賃上げ対応、DX推進、リフィル促進など、薬剤師の将来像にまで影響を及ぼす可能性がある重要な論点が多数出ています。

薬局経営者、病院人事担当、薬剤師採用担当の方に向けて、今押さえるべき最新ポイントを解説します。

🧾 基本料1は維持?それとも縮小?

小規模薬局の多くが算定する「基本料1」は、物価高や人件費上昇に対応するため、点数単価の上昇が予測されています。
ただし、算定対象の範囲が狭まり、実質的に基本料3への移行が加速する可能性もあり、収益への影響は読みにくい状況です。

経営効率や受付集中率など、実績をベースとした客観指標で評価される傾向が強まっています。

📉 薬局の報酬は「体制評価」から「実績評価」へ

今回示された方向性の1つが、「薬局の報酬体系を、体制から実績評価へ転換する」というものです。
単に備蓄や体制を整えているだけではなく、どれだけの患者にサービスを届けているかが評価されるようになります。

加算点数に関しても、次のような方向性が見えてきました。

項目概要
地域包括ケア体制加算点数は維持~上昇。ただし要件厳格化
在宅医療関連加算点数維持or上昇。ただし実績(訪問回数やターミナルケア対応など)重視
DX・リフィル関連DX加算やリフィル処方は評価強化の可能性。ただし運用実績が重要
機能強化薬局地域連携薬局などの認定薬局が報酬上で評価対象となる見込み

🏠 地域包括ケア体制加算:点数維持も要件厳格化の流れ

「地域包括ケアシステム」を支える調剤報酬加算については、点数は維持または増加の見通しがある一方で、算定要件(届出・体制・実績)の厳格化が予想されています。

これは加算の「形骸化」を防ぎ、より地域に根ざした薬局の取り組みを評価する方針への転換です。
薬局側は施設基準・届出の適正化や実績管理体制の整備が求められます。


🏡 在宅医療関連加算:実績主義へ移行、専門性も重視

  • 在宅加算は点数アップの可能性あり
  • ただし、訪問件数・ターミナルケア対応・医療資材の取り扱い実績などの定量評価が必須に
  • 専門性の高い領域(ターミナルケア等)への対応力が強く評価される流れ

これにより、「なんとなく届出している薬局」と「専門チームで本格的に取り組んでいる薬局」との報酬格差が拡大する見通しです。


🏅 機能強化型薬局:認定薬局の価値が再評価される

  • 健康サポート薬局
  • 地域連携薬局
  • 専門医療機関連携薬局

これら機能強化型薬局の認定取得が、今後の報酬に直結する可能性が高まっています。
特に、二次医療圏ごとの連携強化や、処方元医療機関との連携頻度の可視化などが評価対象となる可能性があります。


💻 DX加算:点数増加でも「実績」がカギ

電子処方箋、電子カルテ共有、レセプトオンライン請求、服薬指導アプリなど、DX推進に関する加算は「点数は維持もしくは増加」とされつつも、以下のような要件が厳しくなる見込みです。

  • 電子処方箋導入済みか(導入率が全国平均を上回るか)
  • オンライン資格確認の活用実績
  • 服薬フォローの電子記録送信件数

これらは「導入しているか」ではなく、どれだけ活用できているかが今後の焦点となります。


🔄 リフィル処方促進:点数見直しの可能性

  • 通常処方よりリフィル処方の点数が高く設定される可能性
  • 医療費抑制・慢性疾患患者の利便性向上を狙い、国もリフィル推進の姿勢
  • ただし、現場の薬剤師の負担感や患者側の誤解もあり、導入の実効性が課題

OTC類似薬の活用(保険外での対応促進)も検討されており、薬局サービスの多様化が制度面から後押しされる流れです。


🏥 病院薬剤師の評価強化へ:偏在の是正と採用戦略

2025年9月の中医協では、病院薬剤師の偏在状況が詳細に分析されました。

指標内容
偏在指数1.0超の都道府県(病院薬剤師)0県
偏在指数1.0超の都道府県(薬局薬剤師)18県
偏在指数1.0超の二次医療圏病院薬剤師:17/335
薬局薬剤師:107/335

この結果から、今後は「病院で働く薬剤師」への評価が、診療報酬面でも強化されていく可能性があります。

👉 採用面での影響

  • 2025卒・2026卒の薬学生は病院志向が増加
  • 病院薬剤師に加算評価が加われば、就職先としての魅力度がさらに高まる
  • ただ薬局やDGSからの転職で病院へという流れは起きない

🧮 病院薬剤師に報酬誘導が入る可能性も?

薬剤師の地域偏在・業態偏在の解消策として、病院薬剤師への点数付与が導入される可能性もゼロではありません。

「臨床薬剤業務への従事実績」などを評価対象とする病院薬剤師向け加算をすれば、医療現場での薬剤師の貢献を制度的に後押しできることになります。


🔍 まとめ:採用戦略も「制度トレンド」を見据えた設計を

2026年度の診療報酬改定は、単なる点数調整にとどまらず、

  • 薬剤師の配置バランス
  • 病院・薬局間の人材偏在
  • 評価軸の「実績主義」化

といった薬剤師業界全体の構造を揺るがす内容になる可能性をはらんでいます。

そのため、薬局・ドラッグストア・病院など、薬剤師を採用するすべての事業者は、以下のような対応が求められます。

  • 病院志向の薬学生の増加に備えた採用広報
  • 地域偏在に対する補完人員の配置(遠隔対応含む)
  • 報酬制度と連動した経営戦略・人事戦略の再設計

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