【3/5 調剤診療報酬改定告示】地域支援・医薬品供給対応体制加算&かかりつけ薬剤師など告示内容について

前回のブログでは、2026年度調剤報酬改定の答申内容について速報としてお伝えしました。今回は、2026年3月5日の官報告示によって詳細が明らかになった「地域支援体制加算(新名称:地域支援・医薬品供給対応体制加算)」「かかりつけ薬剤師」「医療DX加算」の具体的な算定要件を中心に、前回からさらに深掘りして解説します。

1. 地域支援体制加算再編:「名称変更」と「実績要件の緩和」

今回の官報告示で大きなトピックは、地域支援体制加算が「地域支援医薬品供給対応体制加算」へと名称変更され、実績要件が見直されました。

1. 新設加算の名称と点数

・地域支援・医薬品供給対応体制加算1 (点数: 27点)

2. 算定のための基礎要件

この加算を算定するためには、以下の実績を維持していることが大前提となります。                    ・後発医薬品の使用割合(規格単位数量割合)が85%以上であること

3. 医薬品の安定供給を確保するための施設基準(8項目)

安定供給に向けた具体的な体制として、以下の8つの項目を満たす必要があります。

  1. 医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理を行うこと
  2. 他の保険薬局に医薬品を分譲した実績(同一グループ間は除外)があること
  3. 供給不安等で入手困難な場合、在庫確認の上で患者紹介や処方医への処方変更提案などの適切な対応を行うこと
  4. 重要供給確保医薬品のうち、内用薬および外用薬については1か月程度の備蓄に努めること
  5. 原則として、単品単価交渉を実施していること
  6. 卸販売業者への頻回配送、休日・夜間配送、急配に係る過度な依頼を慎むこと
  7. 温度管理が必要な医薬品や在庫調整目的での、卸販売業者への過度な返品を慎むこと
  8. 地域の医療機関、薬局、関係団体と連携し、取り扱う品目の情報共有や事前の取り決めを行っておくことが望ましい

実績要件の緩和(10項目から9項目へ)

項目旧制度(地域支援体制加算)新制度(地域支援医薬品供給対応体制加算)
対象実績項目数10項目9項目
必要達成数8項目7項目

変更点①「服薬調整支援料」が実績項目から完全に削除 

変更点②:重複投薬・相互作用防止加算                                        → 「重複投薬・残薬調整加算」および「薬学的有害事象防止加算」に分割。ただし、1万回あたり20回以上の実績要件は変更ありません。

変更点③:かかりつけ薬剤師指導料 → 「薬剤管理指導料1・2」へ置き換え。

経過措置の注意点

今回の改定では、地域支援加算の実績に関して経過措置が設けられていません。令和6年6月から令和7年5月までの実績に基づき、新基準が即座に適用されるため、直近の実績確認が急務となっています。

2. 供給責任と設備要件:加算1〜5の施設基準

新たな施設基準では、医薬品の安定供給体制だけでなく、薬局の「物理的な構造」や「地域貢献」がより具体的に定義されました。

加算区分ごとの主要要件

加算は「加算1」と「加算2~5」で基準が分かれます。

  • 管理薬剤師や薬剤師定着の体制:在籍期間や勤務時間の要件
  • 備蓄医薬品の品目数:供給不安に対応できる十分な在庫
  • 薬局の構造要件:新たに「調剤室面積16㎡以上」という基準が明示されました(新規開設・改築時等に適用)

セルフメディケーション推進の義務化

地域支援を算定する薬局には、セルフメディケーション推進のため、以下の健康測定機器を最低3種類(体重計・血圧計・体温計)以上設置することが求められます。

これらの設置は、緊急避妊薬の調剤・販売を行う体制整備とも連動しており、地域住民が気軽に健康相談に訪れる場所としての機能を強化する狙いがあります。


    3. 医療DX加算の緩和:マイナ保険証利用率30%

    電子的調剤情報連携体制整備加算(医療DX加算)は、当初の厳しい予測から一転、多くの薬局が算定可能な水準へと緩和されました。

    • 利用率要件:マイナ保険証の利用率が30%以上で算定可能。
    • 算定可能見込み:この基準設定により、多くの薬局が算定可能になると見込まれています。
    • 点数の適正化:最大10点から8点へと減点されましたが、取得しやすい点数になっています。

    4. かかりつけ薬剤師と薬剤管理指導料の運用改善

    薬剤師の働き方や患者への対応についても、実務に即した緩和が行われています。

    かかりつけ薬剤師の勤務要件緩和

    • 週31時間以上勤務
    • 6か月以上の継続勤務

    同意取得の簡素化

    これまでの「同意書」による管理から、「患者手帳への薬剤師名と同意済みの記載」で対応可能となりました。ただし、該当ページのコピーを薬局で保管する義務は継続されるため、運用ルールの整備が必要です。


    5. 服薬調整支援料2:1000点についての内容

    今回の改定では服薬調整支援料2の1000点への大幅増点が話題になっています。

    • 背景:ポリファーマシー(多剤併用)解消への強力なインセンティブ。
    • 算定の条件:高度な薬学的評価を行う薬剤師が対象。
    • 研修要件:令和9年6月以降、特定の研修(例:日本老年薬学会主催のポリファーマシー研修など)の受講が必須となります。

    1,000点という点数は、薬剤師の専門性が評価された変化ですが、すべての薬剤師が自由に受講・算定できるわけではなく、事前の準備が重要になります。


    6. 患者負担の適正化:選定療養と時間外調剤

    患者さんへの窓口負担についても、2026年改定は大きな転換点を迎える可能性があります。

    • 先発医薬品の選択:後発品があるにもかかわらず先発品を希望した場合の特別負担が、1/4から1/2へと増加する見込みです。
    • 時間外調剤の選定療養:2026年1月より、緊急性のない時間外調剤は「選定療養」の対象となり、患者から追加徴収を行う仕組みが導入されます。医療費抑制と薬剤師の過剰な労働負担軽減が目的

    結論:2026年度改定を勝ち抜くための薬剤師採用戦略

    地域支援医薬品供給対応体制加算の算定を維持・拡大するためには、単に基準を満たすだけでなく、「選ばれる薬剤師」の確保と定着が不可欠です。特にかかりつけ要件の緩和や在宅実績の重視を背景に、地域に根差して長く働ける薬剤師の採用は、経営の生命線となります。


    関連リンク 2026年度調剤報酬改定と薬剤師採用戦略:答申に基づく詳細分析

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