薬剤師の採用に直結?中医協で見えた病院薬剤師偏在への危機感とは

2026年度の診療報酬改定に向けて、2024年9月10日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)では、薬局・調剤報酬に関する議論よりも「病院薬剤師」や「地域の偏在」をテーマとした話題が目立ちました。
今後の報酬改定や医療制度設計において、病院薬剤師の在り方や地域偏在対策が大きな焦点となっていく兆しとも捉えられます。本記事では、薬剤師採用・人材確保という視点から、この流れが何を意味するのかを深掘りしていきます。
【病院薬剤師の偏在指標が示す現実】 中医協で示された厚労省の資料によると、現在の人口比を基準とした薬剤師偏在指標において、病院薬剤師が1.0を超えている都道府県はゼロ。薬局薬剤師では18都道府県が1.0を超えていたのに対し、病院薬剤師は深刻な人材不足状態であるという議論が出ていました。
- 二次医療圏で偏在指標が1.0超え
- 薬局薬剤師:107地域
- 病院薬剤師:わずか17地域
都道府県内でも地域差があり、都心部の病院には人が集まるが、地方や中核病院には集まらないという構図が続いています。
【病院薬剤師への点数評価強化の可能性】 これまで調剤基本料や在宅点数など、薬局関連の改定が中心だった診療報酬ですが、次回の2026年度改定では病院薬剤師の評価点数が新設・拡充される可能性があります。
- 医療DXの加速による業務変化
- 退院支援・多職種連携の重要性の高まり
- 人材確保が困難な地域へのインセンティブ強化
などが重なり、病院薬剤師への評価強化はポイントの一つになると思います。
【採用市場で起きる2つの変化】
- 2025卒・2026卒の薬学生は病院志望者が増加する傾向にあります。その上で2027卒以降も報酬改定や自治体の後押しにより、薬学生の中で病院薬剤師志望が増加する可能性があります。新卒薬剤師の就職活動について、薬剤師採用トレンドにも大きな影響を与える要素です。
- 薬局・DGSとの採用競争が激化 人材が病院に集中すれば、薬局・ドラッグストア側は新卒採用においては、新卒薬剤師確保がより一層難しくなる懸念があります。特に地方薬局では、病院との人材獲得競争が深刻化することになると思います。
【薬局・DGSが今すぐやるべき対策】
- 採用ブランディングの強化:病院に劣らないやりがい・教育体制や研修・働き方の自由度を伝えるSNS発信や採用ページの強化
- 大学・地域との連携:薬学生との早期接点づくりや、インターン・見学の機会創出
- 待遇・育成制度の見直し:奨学金返済支援制度やキャリアパスの明示など
【まとめ】 中医協の議論は、単なる点数改定の話ではなく、今後の薬剤師採用市場に大きな影響を及ぼす方向性を示しています。特に「病院薬剤師」に対する政策的注目が高まる中で、薬局・DGSがこの動きにどう対応するかが、2026卒以降の採用成否を左右する可能性が出てきています。
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