【2026年版】40年ぶりの労働基準法改正!?薬剤師採用・薬局経営はどう変わる?徹底解説
1980年代以来、約40年ぶりとなる大規模な労働基準法改正が進んでいます。
2025年の国会審議を経て、早ければ2026年から段階的に施行される見込みです。
今回は労働基準法改正の主要ポイントになりそうな部分を整理しながら、
薬局・ドラッグストアの採用や人事運用にどのような影響が出るのかをわかりやすく解説します。
1. 労働基準法改正の背景|なぜ40年ぶりの大改革が必要なのか
今回の改正は以下の社会変化を受けて進行しています。
- テレワーク・副業の普及
- フリーランスの急増と偽装フリーランス問題
- 長時間労働の常態化と労働災害増加
- 人材不足による中小企業の働き方改善ニーズ
- 医療・介護産業の業務負担増大
特に医療業界は人手不足が深刻で、
薬局においても「長時間労働・休日対応」が採用に悪影響を与えるケースが増えています。
改正により、法的な働き方基準が厳格化されることで、
薬局経営や薬剤師採用にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
2. 改正の主なポイントをまとめて整理
以下は議論中の主要改正項目です。
薬剤師採用に関連が強いポイントを中心にまとめました。
① 労働者の範囲拡大(偽装フリーランス問題)
- 指揮命令を受けて働くフリーランスは「労働者」と認定する方向
- Uber配達員のようなケースが議論の中心
- 派遣薬剤師・スポット薬剤師・フリーランス薬剤師などの契約管理に影響が出る可能性
薬局の業務委託スタッフが実質労働者と判断されやすくなるため、
契約形態の見直しが必要となります。
② 管理職(管理監督者)の要件明確化+健康管理義務追加
- 現状、管理職は労働時間規制の対象外
- 改正により 本当に管理監督者と言えるのかの基準が厳格化
- 管理職にも以下要件が明確化される見込み
- 長時間労働時の医師面談
- 休日確保義務が課される可能性
管理薬剤師・薬局長・マネージャー職にも影響大です。
「名ばかり管理職」の扱いが不可能に近くなるため、
給与体系・役職要件の見直しが採用競争力に直結します。
③ 残業時間の上限規制がさらに強化
現状 → 月45h・年360h(特別条項で720hまで可能)
改正 → 特別条項廃止の方向。上限規制の厳格化。
勤務時間を残業込みなどで対応している中小薬局などは、最も影響を受けるポイントです。
- 人手不足で残業に依存する体制が困難に
- 忙しい店舗ほど追加採用が必要になる
- シフト調整・応援体制の構築が必須に
④ 時間外・休日労働の情報開示義務化
- 社内外へ残業状況の可視化を義務化する方向
- 求人票にも残業時間の開示が求められる可能性
薬学生の志望動機で「残業時間の少なさ」は上位に入ります。
ブラック体質は即バレするため、採用力向上には残業削減が必須施策になります。
⑤ 週44時間制(小規模事業)の廃止へ|40時間に統一
10人未満の薬局でも、週44h → 40h に統一(段階的)される見込み
これにより、週44時間で一人薬剤師で対応していた薬局などは影響があるかもしれません。
- 地域薬局の人件費が増加
- 店舗・シフトの再編が必要
- 追加採用が必要になる薬局が増加
特に1~3店舗経営の薬局は要注意です。
⑥ 勤務間インターバル制度(11時間)を一般労働者に導入
例:夜24時まで勤務 → 翌日の出勤は 11時以降 に。
調剤薬局やドラッグストアではあまり発生しませんが、病院の当直や夜勤明けのケースなどはこちらのケースに該当する場合が出てきます。
- 閉店作業で遅くなり翌日も早番
- 応援勤務で長時間移動+翌日勤務といった働き方は 全てNG になります。
結果として以下のような事案が発生します。
- シフト調整の自由度が低下
- 繁忙期の負担を複数人で分散する必要
- 採用人数の増加が必要
⑦ 休日の見直し(4週4休 → 2週2休へ)
現行の法律では48連勤可能な現行制度が廃止され、2週2休(最大13連勤まで)へと変更される方向。
医療業界全体が休息重視へ向かうため、
求人でも「完全週休2日」が標準化する可能性が非常に高いです。
⑧ 休日の連絡禁止(オンコール規制)
休日にLINE・電話・メールなどで業務連絡を取ることが禁止される可能性があります。
薬局では「緊急の問い合わせ」や薬剤師へのオンコール依頼が起こりえますが、
法規制が入ると 運用方法の抜本見直し が必要になります。
⑨ 有給休暇制度の見直し(部分取得拡大など)
議論されている内容は主に以下となります。
- 時間単位有給を4時間→2時間へ拡大
- 年5日の取得義務の柔軟化
- 出勤率8割ルールの見直し
薬剤師は家庭事情・子育てと両立する人が多いため、
短時間有給が可能になると離職防止につながるメリットがあります。
⑩ 副業の労働時間を「合算しない」方向性
現行:本業+副業の時間を合算して残業扱い
改正案:合算しない方向へ(ただし結論未定)
これが実現すると以下のようなことが発生します。
- 薬剤師の副業が増える
- 採用競争はさらに激化
- 土日だけ働きたい薬剤師や病院薬剤師が副業で薬局薬剤師として勤務
3. まとめ|2026年改正は薬剤師採用に「追い風」にも「逆風」にもなる可能性
今回の労働基準法の全面改正は、薬局業界にとって リスクとチャンスの両面を持ちます。
▼リスク
- 残業削減で人員不足が顕在化
- 管理職制度の見直しが必須
- 休日・深夜対応が難しくなる
▼チャンス
- 働きやすい薬局は採用力が急上昇
- 離職防止・定着率の向上
- 副業受け入れで労働力を確保しやすくなる
医療業界自体の働き方が大きく変わる可能性があるのが2026年となります。
薬局としては、先回りして働き方改革を進められるかどうかが採用競争の分岐点になります。
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